• Who AM I /自己紹介

    現所属など

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    所属

    2020/3現在

    産業技術総合研究所 生命工学領域 創薬基盤研究部門

    https://unit.aist.go.jp/brd/jp/groups/scbrg/scbrg.html

    (ステムセル…とありますが私は幹細胞はほとんどやってません)

  • Research Interests / こんな研究しています

    一見バラバラにも見えますが目指すところは一つ、

    「免疫システムの理解」です、、、

    antiviral innate immune response / 抗ウイルス自然免疫応答の解明

    抗ウイルス免疫応答、特にI型IFN産生機構の分子生物学、細胞免疫学について研究しています。最近はその定量的な研究もやっています。

    これらは基本的には免疫応答の「モデル」として研究しており、これを梃子に免疫応答全体をできるだけ一般的な枠組みで書き下すことができるように考えていきます。

    understanding immune response from big quantitative data / 大規模定量データからの免疫応答の理解

    免疫応答に関するRNA-seq, ChIP-seqなどの大規模な定量データを整理、情報を抽出してその全体像の記述や新しい制御機構の同定を行っています。いろんな機械学習の手法を使っていきます。

    physical property of immune receptors and signaling molecules / 免疫受容体やそのシグナル伝達分子の物理的性質

    主に一分子イメージングを用いることで免疫受容体やシグナル伝達分子の動態を詳細に調べその物理的性質を明らかにすることで免疫応答を特徴づける研究をしています。

    theory of immune system and its application / 免疫システムの理論と応用

    免疫システムの原理を数理で書き下し、それを応用していく研究をはじめています。データからのボトムアップな方法と、理論からの構成的な方法の両方を行います。

  • Publication / 論文

    Publication record, with short review (sorry, japanese only)/ 論文、解説つき(日本語のみ)

     

    Full record of publication can be found in the link below / 下のリンクから全ての業績をご覧いただけます

    https://drive.google.com/file/d/1HPbOW0mJZltpFr04C5pSHCYrK-A2abbf/view?usp=sharing

     

    Google Scholar https://scholar.google.com/citations?hl=en&user=nEUjacUAAAAJ

    Kumagai, Y., O. Takeuchi, H. Kato, H. Kumar, K. Matsui, E. Morii, K. Aozasa, T. Kawai, and S. Akira, Alveolar macrophages are the primary interferon-alpha producer in pulmonary infection with RNA viruses. Immunity, 2007. 27(2): p. 240-52.

    抗ウイルス免疫応答において重要なサイトカインであるI型IFNの一つ、Ifna6の遺伝子発現をモニタリングできるように、GFPをIfna6 locusにknock-inしたIfna6gfpマウスを作製し、IFN産生細胞の同定を行った。コンベンショナル樹状細胞(cDC)、プラズマ細胞様樹状細胞(pDC)がIFNをin vivoで産生する細胞であることを証明し、かつそれらの細胞がそれぞれRLR-IPS-1シグナル伝達経路、TLR-MyD88シグナル伝達経路を用いてウイルスを認識、IFNを産生していることをin vivoで初めて示した。さらに、肺へのウイルス感染においては肺胞マクロファージ(AM)が主要なIFN産生細胞であることを初めて示した。AMはRLR-IPS-1依存にウイルスを認識すること、またAM依存の抗ウイルス免疫応答が破綻した際にpDCがIFN産生を行うことを示した。これらから、肺においてはAM-RLR-IPS-1のシステムが第一線の防御機構として働き、それが破綻するとpDC-TLR-MyD88のシステムがバックアップとして働く二重の防御策があるというモデルを提唱した。AMの抗ウイルス免疫応答における中心的な役割は、その後の共同研究(Goritzka et al, J Exp Med, 2015)などでも示された。

    この論文がD論。KOマウスラボにいたが、KOが当たらず死んでいたところ、GFPをknock-inしてモニタリングするのをぜひやらせてくださいと志願したもの。結果生き延びることができた。

    当時、TLR以外にRLRが発見されcharacterizeされ、さらにDCの種類も増えていたころ、こんなにたくさんの受容体や細胞の種類が必要なのは何故なのか、と疑問に思っていたが、調べてみれば確かに別々の機能がありそれなりに意味がありそうだということがわかった仕事でそれなりに気に入っている。

    他にも、LCMV感染時のpDCのIFN産生(Jung et al, J. Virol, 2008), poly(I:C)投与時のCD8alpha+ cDCによるIFN産生(Miyake et al, J. Immunol, 2009)などにも用いられた。もっと使ってもらえたらうれしい。

    Kumagai, Y., H. Kumar, S. Koyama, T. Kawai, O. Takeuchi, and S. Akira, Cutting Edge: TLR-Dependent viral recognition along with type I IFN positive feedback signaling masks the requirement of viral replication for IFN-{alpha} production in plasmacytoid dendritic cells. J Immunol, 2009. 182(7): p. 3960-4.

    上記の研究において、MyD88欠損pDCが微弱ながらIFN産生をしていることに着想を得、cDC, pDCがin vivoでのIFN産生において必要とするシグナル伝達経路の解析を行った。cDCのIFN産生にはウイルスの増殖が必要であること、pDCには必要ないことを示した。一方、IFN受容体依存の正のフィードバックシグナルもcDCには必要だがpDCには必要ないことを示した。ここで、IFN受容体を欠損したpDCにおいてはウイルスが増殖していること、さらにそのIFN産生にはRLR-IPS-1シグナル伝達経路が必要であることが判明した。これらからpDCTLRIFN受容体、正のフィードバックによってウイルス増殖非依存で頑健な抗ウイルス免疫応答をすることができることを示した。

    上の肺胞マクロファージの仕事もそうだが、異なる細胞や受容体がたくさんある状況で、それぞれ存在する意味を知りたいと思っていたのであれこれ調べてみた結果こうなった。増殖しないウイルスを使ってみるなどしたのが功を奏した。

    続きの仕事をするというのは良いことだが、次々とシグナル分子や細胞が出てきてきりがない、などと昔から思っていて、徐々にもっと細かくないことをやりたい、などと不遜なことを考え始めたのがこのころ。

    Lee, P.Y.*, Y. Kumagai*, Y. Xu, Y. Li, T. Barker, C. Liu, E.S. Sobel, O. Takeuchi, S. Akira, M. Satoh, and W.H. Reeves (*equal contribution), IL-1alpha modulates neutrophil recruitment in chronic inflammation induced by hydrocarbon oil. J Immunol, 2011. 186(3): p. 1747-54.

    Pristaneというhydrocarbonはハイブリドーマ作製などにも用いられるが、これをマウス腹腔に注射すると炎症が誘導され、様々な細胞が浸潤し、長期観察していると最後は自己免疫疾患様の病態を示す。本論文ではpristaneに対する応答で、neutrophilの浸潤がinflammasomeなどにはよらず、IL-1alpha - IL-1R - MyD88のaxisによっている、ということを示した

    他と一見毛色が違うように見える研究だが、もとはequal firstのLeeさんが、私が所属していたラボに来てやろうとしていたpristaneのプロジェクトに、私が作ったマウスが使えるのではないかということで参画することになった。その時の研究がLee, Kumagai, et al, J Exp Med, 2008で、この論文ではpristaneによる自己免疫疾患様病態がTLR7やIFNに依存していることを示した。J Immunol論文と共に、太平洋のあちらとこちらでいろんな実験をやってデータを交換した良い思い出。他にも関連の論文にLee et al, Am J Pathol, 2009; Scumpia et al, J Immunol, 2010;Barker et al, Lab Invest, 2011などがある。

    Teraguchi, S., Y. Kumagai, A. Vandenbon, S. Akira, and D.M. Standley, Stochastic binary modeling of cells in continuous time as an alternative to biochemical reaction equations. Phys Rev E Stat Nonlin Soft Matter Phys, 2011. 84(6 Pt 1): p. 062903.

    上記Ifna6gfpマウスを使ったの研究の中で、IFN産生はある細胞集団全体が産生するのではなく、集団の一部の細胞がstochasticにIFNを高発現し残りの細胞は発現しない、という「デジタル」なものであることを見出していた。これに着想を得て、遺伝子発現をデジタルかつ確率的な過程としてモデル化する方法を考案した。この方法においては細胞応答の非一様性を利用することでモデルのダイナミカルなパラメータが各分子、遺伝子間相互作用の典型的な時間スケールだけで決まり、生体分子濃度相対値(fold-inductionなど)の経時変化測定によって容易に推定が可能である。さらに、細胞の状態は有限の数で表現されるために、システム状態遷移のマスター方程式は一般に線型常微分方程式系となるという特徴を持つ。これはシミュレーションやシステム同定における利点となると考えられる。

    1st authorの寺口さんは理論物理、弦理論をやっていた人。「普通」に用いられる反応速度方程式と比べると、例えば分解と生成が並列に扱われて、時定数がその和になるなど、「普通」の方法に慣れている人間には奇妙に感じる部分があり、そのあたりをホワイトボードの前で微分方程式を解きながら喧々囂々と議論した。あと、論文の構成などでいろいろとお互いにカルチャーショックを受けたと思う。

    Vandenbon, A*., Y. Kumagai*, S. Akira, and D.M. Standley (*equal contribution), A novel unbiased measure for motif co-occurrence predicts combinatorial regulation of transcription. BMC Genomics, 2012, 13(Suppl. 7): S11.

    equal 1stのVandenbonさんとは共同研究で知り合い、その後彼が私のいた研究所に来て、一緒に大規模な定量データからの情報抽出を試みる仕事をした。本研究では、まず大規模なマイクロアレイ解析によって得られた遺伝子発現定量時系列データから、発現ダイナミクスの似た遺伝子のクラスタリングを行った。転写因子の組み合わせによる遺伝子発現の制御に着目し、特定の転写因子の組み合わせの特定の遺伝子のクラスターにおける多さの指標、密度比(density ratio)という新しい統計量を考案し適用した。その結果、特定の遺伝子発現時系列を持つ遺伝子群に有意に多く見られる転写因子の組み合わせを発見し、さらに実験によってその転写因子の組が協調的にプロモータ活性を制御していることを明らかにした。

    Vandenbonさんとは一緒に機械学習の教科書を読むセミナーをしたり、他にもいくつかの仕事(Vandenbon, Kumagai, et al, BMC Bioinformatics, 2013; Vandenbon, Kumagai, et al, Genome Biol, 2018)を一緒にしている。おかげで自分でもいろいろなバイオインフォぽい解析ができるようになり(例えば下のKumagai et al, BMC Genomics, 2016)、大変ありがたい。また、彼の出身研究室のつながりで他にも共同研究をしてもらっている(Patil, Kumagai, et al, PLoS Comp Biol, 2013; Liang et al, Gene, 2013)。

    Kumagai, Y.*, A. Vandenbon, S. Teraguchi, S. Akira, and Y. Suzuki, (*corresponding author) Genome-wide map of RNA degradation kinetics patterns in dendritic cells after LPS stimulation facilitates identification of primary sequence and secondary structure motifs in mRNAs. BMC Genomics, 2016, 17(Suppl 13):3325.

    本研究においては樹状細胞におけるTLR刺激後のRNA安定性の変化に着目し、分解速度変化の時系列からRNA配列または2次構造モチーフを抽出した。RNA転写阻害剤を加えた細胞から経時的にRNAを抽出し次世代シーケンサーによって網羅的にRNA量を定量することによりRNA分解を観測し、RNA分解の速さに応じて遺伝子をクラスタリングした。RNA分解速度が早いほど発現量が低く、TLR刺激により発現量が大きく変化し、3’非翻訳領域(3’ UTR)が長いことが示された。クラスタリングされた遺伝子のRNAの3’UTRに多く見られるモチーフをde novo探索によって同定する際、既存の2次構造モチーフ探索アルゴリズムは本研究における状況(類似の分解パターンを持つが、必ずしも同じモチーフを持っているとは限らない)を想定していないため、新たに確率的文脈自由文法モデルに基づいて反復的にモチーフを探索する方法を開発、適用した。結果、既知のRNA結合モチーフだけでなく、新たなモチーフを同定することに成功した。

    RNA分解をRNA-seqでgenome-wideに測定したデータを成仏させるための論文。もっといろいろできそうなこともあるが、ずっと持っていても仕方ないだろうということでまとめた。骨格は数年前にできていたけど、もっとデータつけるかどうかを迷っているうちに時間がたってしまった。

    クラスタリングには分解速度そのものと、その変化パターンどちらも用いて分類したかったので、density peak clustering と呼ばれる比較的に新しい方法(Rodriguez and Laio, Science, 2014)を、non-parametricにできるように改変、実装した。

    SCFGを使って反復的にサーチする方法は、PSI-BLASTのようなものだと考えるとわかりやすい、と思う。

    Teraguchi, S*, Kumagai, Y* (*corresponding author), Probabilistic Nearest Neighbor Estimation of Diffusion Constants from Single Molecular Measurement without Explicit Tracking. BMC Syst Biol. 2018 Apr 11;12(Suppl 1):15 (arXiv:1601.00756).

    全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を使用した免疫に関与する分子の一分子イメージングをやっていたのだが(その結果の一部はSato et al, JACS, 2017にある)、とにかくデータ解析が大変だった。具体的には、ビデオイメージから分子一個ずつを抽出し、各フレームごとにどの分子がどこにいったかを結び(トラッキングという)、その軌跡の統計(分子の平均移動距離(の2乗;これで拡散係数が計算できる)、分子の観測される時間等々)を計算するのだが、このトラッキングの成否によって結果が大きく変わってしまう。特に、あまりに分子の密度が高くてもだめ、低いと統計がとれない、ということで観測と計算に大変苦労していた。

    そこで、共同研究者の寺口さんに「トラッキングしないで拡散係数計算する方法ないですか」と毎日のように言っていた時期があった。正直とても迷惑だったと思うが、ある日寺口さんが「いい方法を思いつきました!」とこの論文の方法を解説してくれた。一晩で思いつき計算したというホワイトボードに書かれた計算式を書き写し、もうこれで論文になるし計算も楽になるな!と思っていた時が一番楽しい瞬間だった。論文を通すのは大変苦労し、できるということを示すのにシミュレーションデータを用意し、トラッキングを経ない他の手法と比較し…とやっても最初に出した雑誌は半年以上かかってrejectされ、最終的に今の形になった。

    手法の鍵は、時間tである位置に分子がいるとして、次の時刻t+dtでその位置に一番近い分子が、(1)もともとの分子であった、(2)別の分子がそこに来た、の2通りに場合分けし、それぞれの確率を計算する、というアイデアで、ざっくり言うとこれにより拡散係数と分子の密度の2つの効果をうまく見積もることができる(拡散係数が小さければ(1)の場合がより確からしく、分子の密度が拡散係数に対して十分に高ければ(2)が無視できなくなる、等々)。この確率モデルを用いることでトラッキングをせずとも分子の拡散係数を計算することができる。さらに、拡散係数が異なる複数の分子がある場合や、一番近いものだけでなく2番目、3番目に近いものを考える、密度が細胞内で異なる場合を考える、等も可能になっている。

    Vandenbon, A.*, Kumagai, Y.*, Lin, M., Suzuki, Y., Nakai, K. (*equal contribution), Waves of chromatin modifications in mouse dendritic cells in response to LPS stimulation. Genome Biol. 2018 Sep 19;19(1):138 (bioRxiv:066472).

    (近日中に解説を公開)

    Kumagai, Y.., T. Hirasawa, K. Hayakawa, K. Nagai, and M. Wachi, Fluorescent phospholipid analogs as microscopic probes for detection of the mycolic acid-containing layer in Corynebacterium glutamicum: detecting alterations in the mycolic acid-containing layer following ethambutol treatment. Biosci Biotechnol Biochem, 2005. 69(11): p. 2051-6.

    (近日中に解説を公開)

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